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減収がないのに逸失利益が認められ14級9号が12級13号になった事例

(2015年4月8日解決)
 

A(40代後半の男性,会社員)が自転車に乗って走行中,前方にいた車が突然後方に発進し(運転者はB),Aの乗る自転車と衝突して,Aは転倒した。


交通事故後,Aは病院に行き,Aは頚椎椎間板ヘルニアと診断された。Aは治療を続けたが,しびれ等が残り,症状固定となった。


Aは交通事故の後遺障害により転職をし,苦労を重ねつつも収入は減少していなかった。


Aは後遺障害について事前認定により14級9号と診断された。Aはその判断に納得がいかなかったので,Bを相手に訴訟を提起した。


Aは鑑定の申請をしたところ,Bの代理人は難色を示したが,最終的には裁判所が鑑定を採用した。鑑定人は,Aの後遺障害についてはヘルニアの部位としびれの部位が一致する等の理由により12級13号であると判断した。もっとも,同時に,事故よりも前にヘルニアが生じていた可能性が高いという判断も示した。


また,陳述書や尋問において転職の経緯や現在の苦労などを代理人なりに詳しく述べて逸失利益が認められるべきであることを主張した。


裁判所は,鑑定人の意見を尊重し,かつ,本人の努力を考慮し,後遺障害等級を12級13号として逸失利益も認めて既払い金160万5687円を除いた額として総額750万円の和解案を提示した。もっとも,この和解案では素因減額もされていた。最終的には双方共に納得の上で訴訟上の和解が成立した。


裁判において鑑定が採用された場合,しびれの部位とヘルニアの部位に一致する点が見られる場合には12級13号が認められる傾向にある。ところが,事前認定においては,まだまだ厳しい判断が続いている。本来は12級13号に相当する事案において14級9号が認定をされている被害者の方は他にも多いのではないかと思われる。


鑑定が採用されて鑑定人の意見が出れば,双方とも鑑定意見に納得をしやすいと思われ,裁判所においても和解でまとめやすくなり,鑑定を実施するメリットは裁判所にもある。本件のような頚椎椎間板ヘルニアに関する鑑定の場合,患者の年齢によっては無兆候性のヘルニアがあるということで素因減額がなされる可能性はある。もっとも,素因減額をされても賠償額が上がる場合がほとんどであると思われるので,上位等級獲得のために鑑定を求めることは重要な立証手段の一つである。


しかし,鑑定を採用しない裁判官も多数いるので悩ましいところである。


また,交通事故後に収入が減少していないという被害者も多いと思う。逸失利益の賠償は本来であれば後遺障害による収入の減少を補填するものであるから,突き詰めて考えれば収入の減少がなければ逸失利益は認められないということになりそうである。しかし,裁判においては,本件のように本人の努力を認めて逸失利益を肯定することもあるので,本件が参考になれば幸いである。
 

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