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後遺障害非該当が第14級9号に認定され、訴訟上の和解

 
依頼者A(43才の男性、介護職員)は、自転車に乗って直進していたところ、先行していたB運転の車両が急にウインカーを出し左折したため、Aは急ブレーキをかけ、衝突を回避しようとしたが間に合わず、Aの自転車の前輪と、ハンドルを持っていたAの右手が、B車両の左前部フェンダーにあたり、Aが路上にはね飛ばされ、Aが右手関節の捻挫の傷害を負ったものである。

Aは、右手に痛みと違和感、不快感が残存し、症状固定となったが、Bの加入していた自動車任意保険C損害保険会社の事前認定により、後遺障害は非該当となった。
Aは、当事務所に相談し、当事務所は意見書を作成し、自賠責会社を通じ、静岡自賠責損害調査事務所に被害者請求をした。

しかしながら、事前認定の結果は覆らず、AはBを相手取って、静岡地方裁判所に訴訟を提起した。
Aは、TFCC(三角線維軟骨複合体)の損傷を主張したが、これについては、MRI画像上明白になっておらず、立証ができなかった。

裁判所は、主治医の作成したカルテの治療や症状経過、C損保の顧問医の提出した意見書をもとに、次の判断を示した。

Aは、本件事故で右手関節捻挫の傷害を負い、それにより右手首の痛みが発症し、その後一貫して、同痛みを訴え続け、右手首周辺の疲労感や右手首の動作時痛が残存した。
Aは、TFCC線上のT2で高輝度があったが、TFCCには損傷がなく、長期にわたり回復が困難な症状と見込まれるものの、その原因となる神経系統の障害が他覚的に証明されているとまでいうことはできない。

そのために、労働能力喪失率5パーセントで、就労における慣れの可能性を考慮して、喪失期間は5年間とするということであった。
その上で、裁判官は、Aの過失を5パーセントとし、既払金(治療費)を除いて、BがAに対し、340万円を支払うこととの和解案を提示した。
A、Bともこの和解案を受諾し、訴訟上の和解が成立した。

Aが右手のMRIを解像度の高い3テスラで撮影していたら、TFCC損傷が明白になっていたかもしれないので、残念であった。
Aに早目に相談していただければ、当事務所も3テスラで撮影するようにアドバイスできた。

本件では、まだ、後遺障害非該当が、裁判所の判断により14級9号になり、それなりの和解額を得ることができたが、交通事故被害者は事前認定を避けた方がよいとの例証である。

静岡自賠責損害調査事務所の認定前に十分な調査をし、被害者請求をしておけば、TFCC損傷が認められたかもしれない。

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