交通事故でむち打ち症になってしまった方へ!

1 頚椎捻挫・腰椎捻挫とは

 捻挫とは 骨折や脱臼のない場合の怪我のことを言います。

 追突事故の衝撃で,頚部や腰部に圧力がかかると,頚部から肩甲部,背部にかけて痛みが生じ,手指にしびれが生じる場合があります。

 又,腰部にも痛みが生じる場合があります。

 レントゲンで骨折や脱臼がない場合,医師は頚椎捻挫・腰椎捻挫と診断します。

 頚部捻挫,腰部捻挫,外傷性頚部症候群,頚椎症という診断名になることもありますが,症状や治療方法は同一です。

2 被害者が交通事故直後にすべきこと

 少しでも身体に異変を感じたら,警察に通報し,その後,痛みやしびれがあれば,すぐに整形外科医を受診して下さい。

 そして,診断書を作成してもらい,人身事故として警察に被害届を出して下さい。

 物損事故扱いになると,実況見分調書(現場の見分状況書)等が作成されず,交通事故の状況が分かる資料の入手が困難となり,正しく交通事故の状況を証明することができなくなることもあります。

 

3 頚椎捻挫・腰椎捻挫の治療

①痛みやしびれがある場合,すぐに整形外科に行ってください。

 痛みやしびれがある場合,それはむち打ち症の症状ですので,至急,整形外科へ行って治療を受けて下さい。

 我慢していても,通常の場合,痛みやしびれがひどくなり,すぐに治まってしまうことはありません。

 交通事故直後に整形外科に行かず,1週間ないし2週間位経過して整形外科へ行ってむち打ち症と診断されても,その痛みやしびれの原因が,交通事故によるものなのか,他の原因によるものなのかわからないとして,加害者の加入している損害保険会社が争うことにもなりかねません。

②症状を整形外科医に正確に伝えて下さい。

 整形外科医に痛みやしびれの症状を伝えるときは,どこに痛みやしびれがあるか,それはいつから発生したか,その状態はどのようなものか,なるべく正確に伝える必要があります。

 整形外科医は,あなたの症状をカルテに記載しますが,あなたが述べなかったことはカルテに記載されません。

 あなたがカルテに記載されていない症状を後日主張したとしても,おしなべて,損害保険会社は信用せず,裁判官も同様の態度をとることが多いです。

 特にむち打ち症の場合,最初は痛みが中心なので,しびれのことは言わない方もいますが,しびれが少しでもあったら,それを整形外科医に伝え,カルテに記載してもらっておく必要があります。

 これが後で,12級の後遺障害と認定されるか,14級のそれにとどまるかの分岐点になります。

③MRIの撮影が必須です。

 痛みやしびれが,数日経過しても治まらない場合,早急にMRIを撮影してもらって下さい。

 それも,解像度1.5テスラではなく,3.5テスラの機器を有する病院で撮影して下さい。

 1.5テスラと3.5テスラでは,神経の写り具合が違い,3.5テスラでは神経の状態(神経根の圧迫状況等)がはっきりと画像に写っています。

 静岡市内で3.5テスラのMRI機器を有している病院は,静岡県立総合病院と静岡赤十字病院です。

 主治医から紹介状を作成してもらい,3.5テスラでMRIを撮影してもらって下さい。

 レントゲンの撮影では,骨折や脱臼の症状はわかっても,神経の変性は分かりませんので,ご注意下さい。

 MRIに変性所見があっても,経年変化(加齢による変化)であると主張する損害保険会社が多いですが,それでも何らかの変性所見があれば,静岡自賠責損害調査事務所は後遺障害の認定をする傾向にあります。

④その後の治療の必要性

 痛みやしびれが続くのであれば,医師の指示のもと,治療を受けて下さい。

 治療は,投薬やリハビリが主体となりますが,1週間に少なくとも3回は通院することが必要です。

 症状を我慢していて整形外科への通院日数が少ないと,損害保険会社は,症状がなかったものと判断することがあります。

 さらに,後遺障害があったとしても,静岡自賠責損害調査事務所は,後遺障害を認定しない傾向にあります。

 痛みやしびれが続くのであれば,少なくとも6か月は通院し,治療を受ける必要があります。

 当事務所の経験上,6か月未満での治療で後遺障害が認定されることはまずありません。

⑤整骨院・接骨院の施術について

 損害保険会社は,整骨院・接骨院での施術を受けることは認めています。

 しかし,施術費用が整形外科における治療費に比べ高いため,3か月以上の施術は認めない傾向にあります。

 さらに,後遺障害がある場合,整骨院・接骨院では自賠責後遺障害診断書の作成をしてもらえませんのでご注意下さい。

 この場合,整骨院や接骨院に通院する場合,整形外科にも通院して治療を受ける必要があります。

 静岡自賠責損害調査事務所は,整形外科への通院が少ないと,後遺障害の認定をしない傾向がありますので,この点につきましてもご注意下さい。

4 頚椎捻挫・腰椎捻挫と後遺障害

①症状固定

 6か月以上経過しますと,症状固定(これ以上治療しても良くも悪くもならない状態)とされ,整形外科医に自賠責後遺障害診断書を作成してもらうことになります。

 頚椎捻挫や腰椎捻挫の自賠責後遺障害診断書には,MRI等の検査結果や神経学的諸検査の結果を記載してもらうことになります。

 自賠責後遺障害診断書が作成された後,自賠責保険会社を通じ,静岡自賠責損害調査事務所に後遺障害等級認定の申請をすることになります。

②14級と12級,非該当を分けるポイント

 頚椎捻挫と腰椎捻挫で後遺障害が認定される場合,多くは後遺障害第14級9号(局部に頑固な神経症状を残すもの)が認定され,第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)が認定されることはまれです。

 これは,交通事故の60%が追突事故であり,第12級13号の後遺障害を認めると,任意保険の支払額が増大してしまうからだと推測できます。

 第12級の損害額は,第14級のそれよりも,2倍から3倍も多く,この点の政策的配慮が働いているものと思われます。

 しかし,第12級13号が認められる場合もありますので,それはどのようなものかご説明します。

 12級に認定されやすい類型は,MRI画像から神経根圧迫が読影され,それによるしびれ等の知覚障害が,神経の支配する領域に出ていることが確認される場合です。

 この場合,他覚的に,又は医学的に証明が付いたものとされます。

 この神経学的所見が証明されない場合,後遺障害非該当と認定されます。

 ただ,受傷時から症状固定時まで,被害者の訴えている自覚症状が一貫している場合,症状固定後もその症状は続くものとされ,医学的に説明のつく症状だとされ,14級が認定されることがあります。

③むち打ち症の後遺障害認定の実態

 静岡自賠責損害調査事務所における後遺障害の認定には,厳しいものがあります。

 後遺障害非該当でも,異議を述べれば14級に認定されることも多いのですが,決して12級は認定されません。

 又,14級の認定結果に異議を述べても,12級の上位等級に認定されることはほとんどありません。

 ただ,カルテに被害者の症状が克明に記載され,主治医が神経症状の推移について一貫性があると回答した場合,意外と14級に認定されているのが現状です。

 静岡自賠責損害調査事務所の認定基準は公表されていませんが,「症状の一貫性」は14級が認定されるうえでのキーワードとなっていることは間違いない現実です。

 後遺障害等級が14級になったり非該当だと認定された場合,不服があれば裁判で争うことになるのですが,裁判官は静岡自賠責損害調査事務所の認定結果を尊重しているのが現実です。

④医学的知識と経験豊富な弁護士に依頼する必要

 むち打ち症をめぐる後遺障害の認定は厳しく,医学的知識やむち打ち症の案件を多数取り扱っている弁護士に依頼しなければ,損害保険会社に太刀打ちできません。

 10年以上前であったら,12級の等級認定を得ることはそれ程難しくなかったのですが,今や,裁判によらなければ得ることのできない難易度です。

 このことをお考えの上,弁護士の選任をする必要があります。

 当法律事務所は,上位等級を目指し,裁判所でも裁判官に理解していただけるよう,主張・立証を尽くしています。

 むち打ち症のことについて当事務所にご相談いただければ幸いです。

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