高次脳機能障害の後遺障害

1 高次脳機能障害の特徴

交通事故で,脳に外傷を負った被害者に認知障害や情動障害を含む全般的な人格障害があらわれる方が少なからず存在します。

特に,下記のような症状がみられる場合,高次脳機能障害を疑う必要があります。

  1. 以前と比べ怒りっぽくなっている。
  2. 気分が落ち込み,何事をするにも意欲がない。
  3. まわりの人に対する気遣いが以前と比べ,なくなっている。
  4. 他人の行為を許すことができず,一つのことにこだわりやすい。
  5. 他人との約束を忘れ,他人と今話したことも理解できず,すぐに忘れてしまうし,他人の名前がわからない。
  6. 昨日の食事の内容を思い出すことができない。
  7. 外出しても道に迷い,今自分がどこにいるかわからず,さらに,右と左の区別ができず,帰宅することに困難がある。
  8. 複数のことが同時にできず,今やっていることを中断し次のことをやっても,再度元のことを継続してやることが困難である。

このような高次脳機能障害の症状は,被害者に自覚がなく,見落とされがちです。

そのために,ご家族等,被害者の周囲の方々の観察が極めて重要になります。

2 高次脳機能障害の治療やリハビリの注意点

高次脳機能障害が疑われた時は,まず脳損傷の有無を確認するために,脳損傷の画像診断が正確にできる病院に行かなければなりません。

MRIやCT,脳血流検査などにより,画像診断がされますが,このような画像診断ができる病院は,大学病院,総合病院,地域の基幹病院など,規模の大きい医療機関に限られています。

診断後のリハビリは規模の小さい医療機関でよいですが,画像診断は,とにかく大きい病院の脳神経外科でやってもらって下さい。

高次脳機能障害と診断されたら,次はリハビリが始まりますので,リハビリの可能な病院を見つけることも大切です。

3 医師による「神経系統の障害に関する医学的意見」の作成

後遺障害の等級認定を受けるには,脳神経外科医の作成に係る「神経系統の障害に関する医学的意見」を静岡自賠責損害調査事務所に提出しなければなりません。

これは,高次脳機能障害の有無,その程度を判定する上で最も大切な文書で,定型の用紙が損害保険会社に備え付けられていますので,必ずそれを使用して下さい。

まず,脳MRI,脳CTの画像や脳波の所見を書く欄があります。

脳挫傷痕の残存があることが最も大切ですが,それがない場合には,脳の器質的変化が画像上証明されなければ,高次脳機能障害の等級が認められることは,ほとんどないのが現実です。

他には,神経心理学的検査(知能検査),運動機能の障害,身の回りの動作能力,認知,情緒,行動障害等を記載する欄がありますが,ご家族が交通事故被害者の状況を正しく医師に伝えなければ,神経心理学的検査(知能検査)の結果は別にして,その他の項目は比較的軽く記載されがちですので,ご注意下さい。

この「医学的意見書」の記載内容を静岡自賠責損害調査事務所は重視していますし,その上部機関である自賠責保険審査会 高次脳機能障害専門部会の審議においても,最も重視されることになります。

4 ご家族による「日常生活状況報告」の作成

後遺障害の認定を受けるには,上記の医師による医学的意見書と共に,交通事故被害者のご家族による「日常生活状況報告」を静岡自賠責損害調査事務所に提出しなければなりません。

これには交通事故被害者の受傷前と受傷後の生活の状況を記載する欄がありますが,これもできるだけ日常生活の実態に即し,適確に記載されなければなりません。

これにいい加減に記載しますと,後で訂正しても信用されませんので,高次脳機能障害の後遺障害等級の認定に精通した被害者専門の弁護士に予め相談することがベターです。

被害者専門の弁護士は,今までに多くの高次脳機能障害事案を取り扱い,その等級が何級に該当するかの実状を知っていますので,ご家族から被害者の日常生活の事情を聴取し,記載方法や記載内容についてアドバイスが可能です。

5 当事務所の実績とサポートできること

当事務所は,創業まもなく50年を迎えますので,現在までに数多くの高次脳機能障害事案を取り扱い,事務所内に経験と知識を集積しています。

そして,今までに被害の実態に合致した後遺障害等級を認定させてきましたし,損害賠償額につきましても,裁判基準により,適切な解決をしてきました。

当事務所では,治療の初期の段階から,症状固定後の後遺障害の認定の各段階に至るまで,適時,適切にアドバイスをしています。

又,高次脳機能障害の認定が難しいと思われる事案につきましても,脳神経外科医から意見書をいただき,より良い認定を得ることのできる体制を整備しています。

静岡自賠責損害調査事務所において,高次脳機能障害が認定されるためには,脳挫傷,びまん性軸索損傷,急性硬膜下血腫等の診断名が付き,それが脳のMRIやCTの画像で確認され,事故直後から6時間以上の意識障害があることが必要になっています。

当事務所では,このことを念頭に置き,主治医や主治医以外の脳神経外科の先生方に協力をお願いしていますので,高次脳機能障害の認定がなかなかされないのではないかと考えている方々は何なりと当事務所にお申し付け下さい。

早期に皆様方からご依頼いただきますと,当事務所も資料の収集や医学意見書作成等の万全な準備が可能になり,それが良い結果に結びつくと確信しています。

相談料は何回でも無料で,質の高いアドバイスができますので,一人で勝手に判断せず,是非とも被害者専門の弁護士である当事務所にご相談下さい。

脳に器質的な障害があっても,非器質性の精神障害であると判断されることもありますので,くれぐれも注意が必要です。

当事務所は皆様方にご満足を与えることができると自負していますので宜しくご相談下さい。

6 高次脳機能障害の後遺障害等級基準

1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

「身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの」

※生活維持に必要な身の回り動作=食事・入浴・用便・更衣等

2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」

3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

「自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの」

5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

「単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの」

7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

「一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの」

9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されているもの

「一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの」

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