交通事故と自殺による損害賠償請求

(2015年6月16日更新)

静岡県内の自殺者数

静岡県内の2014年の自殺者数が前年比86人減の673人であったと、本日(2015年6月16日付朝刊)の毎日新聞が報道しています。
自殺者数が減少しつつあるのは幸いですが、まだ、県内で1日に2人近くの方々が自死していることは、とても悲しいことです。
この673人の中には、昨年、職場の過労が原因で自死した公務員のAさん(57歳)、2年前の事故の後遺障害を苦にして自死した会社員のBさん(50歳)が含まれており、特にBさんは、交通事故直後から当事務所に相談にみえており、何ともやるせない気持ちがします。

中には当事務所の相談者も

Aさんのご遺族は、Aさんの死が過労自殺だとして当事務所に相談し、先日、C市に公務災害認定の申請をしましたので、Aさん、Bさんとも、当事務所の関係者だということになります。
Bさんは、交通事故の後遺障害(外傷性頚部症候群、外傷性振戦、脳脊髄液減少症)が改善せず、しびれや痛みに苦しめられ、ついにうつ病に罹患し、その苦しみから逸れるため自死することになりました。
Bさんの後遺障害は静岡自賠責損害調査事務所によって、第14級9号(局部に神経症状を残すもの)と認定され、異議を申立てても、この判断は覆されることはなく、Bさんの失望は深いものがありました。
Bさんは、2012年5月に追突事故にあいましたが、2年5か月後の2014年10月に奥様と小さい子供を残し、1人あの世に旅立ちました。
その苦しみと嘆きはいかばかりだったでしょうか。

Bさんを苦しめた後遺障害

Bさんは、日々、頭痛、頚部痛、肩甲部痛、背部痛、上肢のしびれ、振戦、全身倦怠感に苦しめられ、職場に復帰することもできず、一家の生活ができないことに悩んでいました。
こうした中で、抑うつ気分、意欲低下、不安焦燥の状態が続き、最後には自殺念慮が出てきて、そのことをBさんは精神科医にも訴えています。
特に、事故は一方的なものであるのにもかかわらず、加害者Dの加入していたE損害保険会社が14級9号を前提にして、Bさんの症状は単なるむち打ち症だと断定し、300万円程度の損害賠償金しか提示しないことに、Bさんは失望していました。
こうした中で、Bさんのうつ状態は悪化し、遺書も残さずこの世を去ってしまったのです。
Bさんの死亡後、Bさんの奥様Fさんは、夫の無念をはらすため、静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起し、現在、係争中です。

裁判所の判断

自らに責任のない事故で傷害を受けた場合には、災害神経症に陥り、それがうつ状態になり、自殺に至ることは多く、そのことは、通常人であれば予見でき、うつ病と交通事故の間、さらに、交通事故被害者の自殺による死亡と交通事故の間には相当因果関係がありとする最高裁判所の事例判決もあります。(最判平5.9.9 第1小法廷判決、判例時報1477号、42ページ以下)
この事例は、第14級という比較的軽微な後遺障害による自殺ですが、最高裁は交通事故と自殺との間には相当因果関係があるとして、下級審の判断を是認し、遺族の救済を図ったのです。
但し、この場合も自殺は本人の心因的要因が寄与しているものとして民法722条を類推適用して、損害から80パーセントを減額しています。

当事務所でお手伝いができます

Bさんのように交通事故の後遺障害を苦に自殺してしまう方もいると思います。 この場合、ご遺族は、あきらめず、心療内科や精神科にかかっていれば、そこを調査し、交通事故被害者が、そこで何を述べていたか、あるいは、かかりつけの整形外科医等に何を訴えていたかを聴取し、死亡についての損害を追及することを考えてもよいでしょう。
当事務所が取り扱っている上記の事件も、今後、どのようになるか予断を許しませんが、当事務所は苦しんでいるご遺族のために全力を尽くすことに価値を置いています。
Aさんのような過労自殺をしたご遺族からの労災の相談もお受けしていますが、Bさんのような交通事故の受傷により自殺したご遺族からの交通事故相談もお受けしていますので、何なりとご相談下さい。
それにしても、こんなに自殺の多い国は、どのような国なのかと思います。
戦争法のような議論にうつつをぬかすのではなく、自殺のない幸せな国のあり方を安倍政権は真剣に考えるべきです。

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