14級9号の事案で訴訟上の和解により既払金142万円以外に500万円を取得した事例

(2014年6月19日解決)
 

依頼者A(満33歳の男性)が自転車に乗って信号機のない交差点を一時停止せずに進入したところ、左方から交差点に進行してきた加害者B運転の普通乗用自動車と衝突し、Aが左肩鎖関節脱臼、頚部捻挫、腰部捻挫の各傷害を負った。

Bの加入するC損保はAに対し、14級を前提に既払金142万円を除き186万円を提示した。

Aは、この額が妥当であるかどうかを当事務所に相談し、当事務所は、Aの左肩鎖脱臼の程度が主治医DによってトッシーグレードⅡと診断されていることから第12級6号(1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの)ではないかと考え、上位等級獲得をめざし、静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起することになった。

Aは訴訟の中で、左肩鎖脱臼の程度について鑑定を申請し、主治医Dの第12級6号である旨の意見書を提出したが、裁判所はAの左肩鎖脱臼の程度は第14級9号(局部に頑固な神経症状を残すもの)であると考え、鑑定を採用しなかった。

本件は、Aが後遺障害の等級認定について、C損保の事前認定手続を利用したため、主治医DがトッシーグレードⅡと診断していたものの、自賠責静岡調査事務所は関節機能障害の問題と考えず痛みの問題としてとらえ、第14級9号と判断したものである。

一旦、自賠責静岡調査事務所の判断がなされると、鑑定によらなければ、これを覆すことはほとんど不可能に近い。

ましてや、裁判官が鑑定採用をしないとなると、12級などという主張をしても、裁判官を説得できるものではない。

本件の場合、裁判官は、左鎖骨変形の障害を後遺障害慰謝料の点で考慮してくれ、さらに、後遺障害逸失利益の喪失期間も3年ないし5年ではなく、10年間にしてくれ、既払金以外に500万円の和解案をA、B双方に提示し、訴訟上の和解をしたものである。

C損保の提示よりも314万円も多くなったが、早目に弁護士に相談し、弁護士が意見書をつけて自賠責保険会社を通じての被害者請求をしたら、上位等級が獲得できた可能性があったとも考えられるので、はなはだ残念であった。

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