後遺障害14級9号と判断された男性について後遺障害14級を前提としつつも労働能力喪失率や喪失期間を一般的な場合よりも高めに認定してもらい訴訟上の和解

事故状況

A(男性,48歳)は勤務中に車を運転していたところ,横からBの運転する車にぶつけられた。

 

事故後の症状

 Aはめまい,吐き気,左肩が上がらないなどの症状に襲われた。Aは治療を続けたが,頚部痛,両手のしびれ,左肩関節可動域制限などの後遺障害が残存した。

 Aは被害者請求をしたものの,14級9号と診断された。頚部痛等の神経症状は14級9号と診断された。左肩関節可動域制限については,初期の診断書で肩についての記載がないことなどから,非該当と判断された。

 

事故後の対応

 Aは14級9号に納得することができず,裁判を提起した。

 Aは勤務中の事故であるから後遺障害について労災申請をしたところ,労災保険では併合11級と判断された。労災保険は,神経症状は12級,左肩関節可動域制限が12級であると判断した。

 一方,裁判所は,神経症状については14級,左肩関節可動域制限については初期の診断書やカルテ等に記載がなかったことなどから交通事故との因果関係を否定した。もっとも,労災保険での判断や提訴時点においても満足に復職できていない点などを考慮して,労働能力喪失率を8%,労働能力喪失期間を8年と判断した。Aは裁判係属中に今回の交通事故とは別の原因で死亡したため,妻Cと子Dが代わりに訴訟を続けた。最終的に総額473万円で訴訟上の和解で解決した。

 

ポイント

神経症状の後遺障害14級についてみると,裁判実務上,労働能力喪失率5%,労働能力喪失期間5年間と認定されることが多い。労働能力喪失率が9%になると13級相当になることや,神経症状の後遺障害12級についても,裁判実務上,労働能力喪失率14%,労働能力喪失期間10年間と認定されることが多いことから,労働能力喪失率を8%,労働能力喪失期間を8年間とする和解案は,後遺障害14級においても上限に近い額での認定と評価できる。このような認定がされた理由については,原告の症状が重かったことや労災保険での認定があったからではないかと考えられる。

交通事故が労災事故でもある場合には,労災保険での認定が裁判における後遺障害の立証の重要な資料となることもあるため,本事例が参考になれば幸いである。

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