交通事故当時92歳の女性について休業損害や逸失利益を認めさせて総額550万円で訴訟上の和解

事故状況

 92歳の女性Aは道路を横断している途中でDが運転していた車にはねられた。Aは遷延性意識障害等の傷害を負い,寝たきりの生活となった。Aの家族は毎日介護してAを励ましたが,寝たきり状態となり症状固定となった。

 Aは交通事故に遭う前は,意識もしっかりしており,買い物などの家事をこなしていた。

当事務所の対応

 A(成年後見人はB)とその家族B,Cは,車を運転していたDを被告として裁判を提起した。Dが加入していた任意保険会社のEは,裁判を提起する前は,Aが高齢であるために休業損害や逸失利益はなく,過失相殺もすれば支払うべき金銭は全て払ったなどと主張していた。

 B,CはAが交通事故に遭う前の様子などを詳しく主張し,休業損害や逸失利益が認められるべきことを主張した。

 裁判所は賃金センサスの2割程度ではあったが,Aの休業損害と逸失利益を認め,過失相殺はされたものの,総額550万円の和解額を提示した。B,Cも最終的には納得の上,訴訟上の和解が成立した。

 高齢の交通事故被害者に休業損害や逸失利益が認められるかという問題について,保険会社は否定的な見解をとることが多い。しかし,高齢であっても家事などを問題なくこなして元気で健康な生活を送っている方も多いと思われることから,高齢者であることの一事をもって休業損害や逸失利益を認めないという主張は,被害者の交通事故前の現状を無視するものであり,妥当ではない。裁判においては,身近な近親者などから被害者の生活実態などを詳細に主張できれば,90歳以上であっても休業損害や逸失利益が認められることもあるので参考にしていただければ幸いである。

 

 また,本件はAが完全看護の病院に入院していたものの,付添費用や手足拘縮防止のためのヘルパー代についても一部を損害額として認めたので,その点についても参考にしていただければ幸いである。

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