第12級5号(骨盤骨に著しい変形を残すもの)の後遺障害で、既払金607万円を除き538万円を支払えとのことで訴訟上の和解(2025年1月14日解決)

依頼者A(57才の女性、パートタイマー)は、2021年7月、後部座席に叔母Bを乗車させて、普通乗用車を運転中、C運転の車両がセンターラインをオーバーし走行してきて、A車両に正面衝突した。

Aはこの事故によって、右腸骨々折、右第1肋骨骨折、左第3腰椎横突起骨折、腰椎捻挫等の各傷害を負ったものである。

同乗のBは死亡し、Aはドクターヘリで浜松市内のD病院に運ばれ、入院した。

その後、近医の袋井市内のE整形外科に通院し、2022年7月、症状が固定したと診断された。

Aは本件事故当時、叔母Eと二人暮らしで、Eは身体が弱かったため、パートタイマーの他にEのためにも家事労働をしていた。

AはF損害保険会社と自分で交渉することは大変だと思い、知人を介し、当事務所に依頼した。

当事務所は、自賠責会社に被害者請求をし、後遺障害は第12級5号と認定された。

当事務所は、F損保と交渉したが、F損保は、労働能力は喪失していない、家事労働分の逸失利益は認めず、パートタイマーの低額な現実の賃金を基礎収入とし、216万円の低額な損害賠償額しか提示してこなかった。

そこで、2024年2月、AはやむなくCを被告とし、静岡地方裁判所掛川支部に損害賠償請求の訴を提起した。

そうしたところ、裁判官から和解の勧告があった。

裁判官は、「家事労働もしていた者の労働能力喪失をパートタイマーの収入で認定するのは相当でなく、賃金センサスを基準とする。」との考え方を示したので、Aはこれに応じ、Cとの間で訴訟上の和解をすることにした。

損害保険会社の提示は低額であることも多いので、そのような場合、訴を提起して裁判所で解決することがベターであることが多い。

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