後遺障害非該当が異議申立てにより第14級9号になり訴訟外の和解

(2015年6月26日解決)

 
依頼者A(35歳の男性、作業員)の運転する車両がコンビニの駐車場から前方道路に出ようとしていたところ、加害者Bの運転する車両が後退してきて、A車両の左後方に衝突し、Aが頚部捻挫、腰椎捻挫の傷害を負ったものである。

 

Aは事故直後から頚部から両肩甲部、腰部に痛みを感じ、C整形外科で消炎鎮痛の処置、マッサージ等の理学療法を受けたが、症状は改善せず、6か月後に症状固定となった。

 

Aには頚部痛、両肩甲部の筋肉のはり、右手の手指に痛みとしびれがあったが、C医師の作成した自賠責後遺障害診断書の記載は簡単で、しかも、「レントゲン上、頚椎、腰椎に著明な外傷性変化を認めない。」「頚椎MRI上、著明な外傷性変化を認めない。」とする神経症状を否定する記載があり、静岡自賠責損害調査事務所は、この記載を根拠として、後遺障害非該当と判断した。

 

当事務所は、Aを代理してこの判断を不服として異議の申立てをした。
そして、C医師が著明な外傷性変化がないとしたD病院で事故後97日後に撮影されたAの頚椎MRIをE放射線診断医に読影してもらったところ、「C6/7椎間板に後方突出を認める。特に左方向への突出が優位で同部を走行する左C7神経根の圧迫が疑われます。」との所見を得た。

 

当事務所は、この所見をもとに異議理由を考え、静岡自賠責損害調査事務所に申立書を提出した。
静岡自賠責損害調査事務所は、この画像読影に何ら言及しなかったものの、「初診時に項頚部痛があり、症状固定時まで症状が一貫して存在していたことが認められ、受傷当初から症状の一貫性が認められること、その他受傷形態や治療状況も勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と考えられる。」と述べ、Aの後遺障害を第14級9号(局部に神経症状を残すもの)と判断した。

 

画像鑑定が影響を与えた例だと思われるが、むち打ち症の場合は、上記の静岡自賠責損害調査事務所の定型的文言にあるように、受傷当初からの症状の一貫性が必要で、それを証明するためには同一の医療機関で一定期間の治療をする必要があるように思われる。

 

本件の場合、Bの加入していた自動車任意保険 F損害保険会社は、当事務所の請求した傷害の慰謝料、後遺障害の慰謝料を裁判所基準(赤本)で認め、さらに、休業損害も71万円支払い、労働能力喪失期間も5年を認めたものである。

 

結局、治療費42万円を除き、F損保はAに対し340万円を支払い、訴訟外の和解をしたものであるが、むち打ち症の第14級9号の案件としては、まずまずの結果であった。

 

本件の場合、Aは後遺障害固定時に当事務所に相談に来たが、いわゆる、むち打ち症事案の場合、最近では第14級9号に認定されることも少なくなっており、裁判になっても厳しい判断がなされる傾向にあるので、事故直後から当事務所に来る必要があるように思われる。
 
当事務所では、治療方針や治療機関の適否についても、数多くの症例を扱っていることもあり、それなりのアドバイスができる体制になっている。

 

適時、適切な治療が実施され、後遺障害を残すことなく治癒するのがベストであるが、後遺障害が残ると予測される場合には万全と治療をしていても、後遺障害が認定されることはまずない。
この意味から言っても、早目に相談することが不可欠である。

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