14級9号が維持されたが大幅に増額され訴訟上の和解

(2015年3月27日解決)
 

A(31歳の男性、アルバイト)は、車両を運転して赤信号で停車していたところ、B運転の車両に追突され、頚椎捻挫、腰椎捻挫の傷害を負った。


Aは、自ら自賠責後遺障害等級の申請をしたが、静岡自賠責損害調査事務所は第14級9号(局部に神経症状を残すもの)と判断された。


そして、Aは自らBの加入していた自動車任意保険C損保と交渉したが、Aの損害は249万2365円だとし、既払金195万円を差し引くと残損害額は54万2365円だとした。


Aは当事務所に相談し、Aが弁護士費用特約付保険に加入していたことから、第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)をめざして静岡地方裁判所沼津支部にBを被告として損害賠償請求の訴を提起した。


裁判官は、14級9号の心証を取っていたらしく、Aの鑑定申出を採用せず、A本人の尋問だけ実施するとした。


やむなく、原告代理人は自賠責後遺障害診断書を作成してくれたD医師にAの後遺障害の程度についての意見を求めたが、指にしびれがあることは、Aに残存するヘルニアによるものであるが、これが事故に基づくものであるかは肯定も否定もできないとの、あいまいな回答があった。


裁判官は、Aの本人尋問を実施したあと心証を開示し、Aの後遺障害の程度は第14級9号であるとした。


しかし、AがM会社にAの頚椎の画像鑑定を求めていることを伝えたところ、それも参考にして最終判断をしたいとの極めて柔軟な姿勢を示した。


M会社の放射線診断専門医による画像鑑定は説得力のあるもので「本症例のヘルニア病変の形態は辺縁不整な形態であり、急激に外力が作用し、頚椎が激しく動いた際に生じるヘルニアのパターンであり、画像からはC5/6、C6/7椎間板ヘルニアが事故により生じ、症状が発症し、強固に継続しているとして説明可能である。」ということであった。


裁判官は、この画像鑑定に少し心証を変え、Aがアルバイトで月に5万円から10万円程度の収入しか取得していないので、14級であれば既払金を除き200万円程度であるが、12級であれば750万円程度になり、これらを考慮して和解案を提示すると述べた。


その後。裁判官からBがAに対し、既払金195万円の外に680万円を支払えとの和解案が示された。


後遺障害の慰謝料は14級程度のものであったが、後遺障害の逸失利益について大幅に増額してくれたので、Aは、この和解案を受諾し、C損保もこれを受諾し、訴訟上の和解が成立した。


MRI画像の結果が少し成功した例であるが、裁判官によっては、画像鑑定は臨床所見とは違うので決定的なものではないという方もいるので、この点は今後の課題である。


ただMRI画像鑑定は、臨床所見を裏づける強固なツールであり、今後、MRI画像鑑定を先行させ、これをもとに整形外科医に自賠責後遺障害診断書を作成してもらう必要がある。

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