第14級9号の後遺障害が,鑑定により第12級13号になり訴訟上の和解
(2018年7月11日解決)
依頼者A(60才の男性,アルバイト)は,自家用車を運転していたところ,対向車線からB運転の車両がセンターラインをオーバーして来て,A車両の前部に衝突し,頚椎捻挫,右肩捻挫等の傷害を負った。
Aは,7か月間治療したが,頚部から両肩甲部にかけての痛みと,左手の3指と4指にしびれが残った。
当事務所はAを代理して,自賠責会社を通じ,静岡自賠責損害調査事務所に被害者請求をしたところ,同事務所はAの後遺障害につき,第14級9号(局部に神経症状を残すもの)に該当するものとした。
当事務所は,カルテやMRIの画像鑑定をもとに,異議の申立てをし,第12級13号を主張したが,認められなかった。
そこで,AはBを被告として,静岡地方裁判所に損害賠償の訴えを提起した。
Aの尋問が終了した後,裁判官はA申請の鑑定を採用してくれ,C医師が鑑定人となった。
C医師作成の鑑定書は,Aに第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)の後遺障害があるとし,その上で,素因が30パーセント程度関与しているとした。
裁判官は,A,Bに対し,既払金195万円の外に,BがAに対し464万円を支払えとの和解案を提示した。
この和解案は,後遺障害の慰謝料,後遺障害の逸失利益から30パーセントを控除したものであったが,A,B双方は受諾し,訴訟上の和解が成立した。
最近,むち打ち症事案では,静岡地方裁判所は鑑定を採用してくれず,上位等級をめざすことは難しくなっているが,本件は幸い鑑定を採用してくれたので,12級となったものである。