高齢の家事労働従事者の逸失利益を主張する場合,どのような主張をすればよいか

高齢の家事労働従事者の逸失利益を主張する場合,どのような主張をすればよいか

 

家事労働従事者であっても逸失利益は認められるか

交通事故に遭った被害者の方が高齢の家事労働従事者,いわゆる主婦(主夫)であることは珍しいことではありません。

交通事故における損害として請求金額が多くなる費目として,逸失利益があります。つまり,後遺障害が残り後遺障害が原因で労働に支障が生じてその分収入を得ることが難しくなっているので,得ることができたはずの損害を請求することになります。

家事労働従事者であっても,判例上,逸失利益は認められます

もっとも,保険会社は,高齢の家事労働従事者の場合,就職の蓋然性がないことや高齢であることなどの理由から,逸失利益を否定することもあるし,逸失利益を基礎収入の7割程度と主張することが多々あります。

このような主張を保険会社がした場合,高齢でも元気で健康的な生活を送り家事を何ら問題なくこなしていた被害者の方やその家族からすると納得がいかないと思います。

 

どのような主張をすべきなのか

最終的に裁判等の手続きにより保険会社の主張を退けてもらうためには以下のような主張をする必要があると思います。

まず,被害者がどのような家事をこなしていたかという点,家庭内での家事分担という点を細かく主張してもらうことになります。同居している家族から炊事,洗濯,掃除,買い物,近所付き合いなど被害者が担当していた家事について細かく聞き取りをする必要があります。分担している家事の量が多い場合には,それだけ家事労働についての能力は高いと主張することができると思います。

また,交通事故発生当時の被害者の方の健康状態について詳しく主張する必要があります。保険会社が基礎収入の7割程度と主張しますが,7割という数字自体には格別の根拠があるわけではない場合がほとんどだと思います。ただ,このような保険会社の主張の背景にあるのは,高齢である場合には,持病や身体の故障を抱えている人が多く,そのような持病等が労働に影響を与えているということではないかと思います。

 

このような保険会社の主張を退けるためには,被害者が交通事故当時健康であったこと,稼働能力が高かったことを主張する必要があります。例えば,要介護や要支援に認定されていなければ健康であったことは裏付けることが可能です。通院をしていた場合であっても,当該病気が家事労働に影響をほとんど与えていないという内容の文書をかかりつけ医の方が書いてくれればその文書も有力な証拠となります。また,例えば,買い物のために遠くのスーパーまで徒歩や自転車で行っていれば,脚力が高く健康であったともいえますし,スポーツジムによく行っていたことも健康で体力が十分にあって稼働能力が高いことを裏付けることになると思います。

このように,高齢の家事労働従事者の場合,同居の家族や被害者本人から,被害者の家事労働の内容やその家事労働能力の高さをどれだけ具体的に主張できるかが重要になります。

当事務所は高齢の家事労働従事者の事件も多く扱っており,7割程度などと主張する保険会社の主張を退けたこともあります。今回の記事が皆様にとってご参考になれば幸いです。

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